退職金制度がない会社の実態調査2026!割合・見分け方と老後資金の備え方
「退職金制度がない会社」と聞くと、老後の不安を感じる人も少なくない。2026年現在、終身雇用の前提が揺らぎ、退職金の位置づけは大きく変わりつつある。企業の退職金制度は、大きく分けて「退職一時金」と「退職年金」、そして「企業型確定拠出年金(企業型DC)」や「中小企業退職金共済(中退共)」といった外部制度へと多様化している。厚生労働省の調査や民間シンクタンクの集計によれば、中小企業を中心に退職金制度を持たない企業は依然として一定数存在し、求職者にとっては「制度の有無」が転職先選びの重要な判断材料になっている。
本稿では、退職金制度がない会社の割合やその背景、求人票での見分け方、企業型DCや中退共といった代替制度の仕組み、そして老後資金を自分で備える具体的な方法まで、2026年最新の制度情報をもとに徹底解説する。退職金の相場や退職所得控除の計算、iDeCoとの節税比較など、知っておきたい知識を網羅した。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:中小企業を中心に退職金制度を持たない企業は依然として存在し、求人票や面接での確認が必須。制度の有無は「会社の規模」だけで判断できない。
- 要点2:退職金がない会社でも、企業型DCや中小企業退職金共済、前払い退職金制度などで代替しているケースが多い。制度の中身と運用リスクの理解が欠かせない。
- 要点3:制度がない場合はiDeCoやつみたて投資で自力で備える必要がある。退職所得控除や節税の仕組みを理解し、早い段階からの計画的な資産形成が老後資金の鍵を握る。
【2026年最新】退職金制度がない会社の割合と背景
退職金制度がない会社は、全体から見ると少数派だが、企業規模による格差が大きい。厚生労働省の「就労条件総合調査」や中央労働委員会の集計、民間の人事コンサルティング会社のデータを総合すると、従業員30人未満の小規模企業では退職金制度がない企業の割合が相対的に高く、1000人以上の大企業では大半が何らかの退職金制度を整備している。2026年時点でも、この規模別の傾向は大きく変わっていない。
退職金制度が廃止・縮小される理由としては、①人件費の固定費圧縮、②企業年金制度への移行(確定給付から確定拠出へ)、③退職金の支払い原資である退職給付債務の積み立て負担、④転職市場の流動化に伴う「長期勤続前提」の見直し、といった点が挙げられる。特に2020年代以降、企業型確定拠出年金(企業型DC)への移行を機に、従来の退職一時金制度を廃止する企業が増えている。企業型DCは掛金の拠出が毎月発生するため、退職時にまとまった資金を支払う必要がなく、会計処理の安定性や税制優遇の面で導入する企業が多い。
ただし「退職金制度がない=福利厚生が薄い」とは限らない。給与や賞与に上乗せする形で待遇を手厚くしている企業や、独自の確定拠出年金を導入している企業もある。求職者としては、制度の有無だけでなく、代替制度の内容や運用方針まで確認する姿勢が求められる。

退職金制度がない求人の見分け方と面接での確認方法
求人票に「退職金制度あり」と明記されていれば分かりやすいが、記載がない場合や「退職金制度:なし」と明記されている場合、あるいは「退職金制度:確定拠出年金」とだけ書かれている場合など、表記はさまざまだ。見分け方のポイントは、①求人票の「福利厚生」欄に退職金の記載があるか、②「企業年金」「確定拠出年金」「中小企業退職金共済」といった代替制度の記載があるか、③「前払い退職金制度」の記載がないか、の3点をチェックすることだ。
面接で確認する場合は、「御社の退職金制度はどのような仕組みですか」とストレートに尋ねるのが最も確実だ。退職一時金なのか企業型DCなのか、掛金の負担割合はどうか、運用は自己責任か、といった点を具体的に聞くとよい。失礼に当たるのではと心配する必要はない。退職金は労働条件の一部であり、確認することは求職者の正当な権利だ。むしろ「制度がない」ことを曖昧にしたまま入社すると、後々の待遇面での不満につながりかねない。
なお、求人票の「退職金制度あり」という表記は、必ずしも「退職一時金」を意味しない。企業型DCや中退共を指している場合もあるため、制度の中身を確認することが重要だ。
退職金の代わりになる制度|企業型DC・中退共・前払い制度の仕組み
退職金制度がない会社でも、代わりの制度を整備しているケースは多い。代表的なのが「企業型確定拠出年金(企業型DC)」「中小企業退職金共済(中退共)」「前払い退職金制度」の3つだ。それぞれの仕組みと注意点を整理しよう。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、企業が毎月掛金を拠出し、従業員がその資金を自分で運用する制度だ。運用実績によって受け取れる金額が変動するため、退職金の額が確定していない点が最大の特徴である。掛金は企業が全額負担するケースが多いが、従業員が上乗せ拠出できる「マッチング拠出」を導入する企業もある。退職時には一時金または年金として受け取れる。税制面では、掛金が企業の損金、従業員の所得としても非課税扱いとなるメリットがある。
中小企業退職金共済(中退共)は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する公的な退職金制度で、従業員300人以下の中小企業が加入できる。企業が毎月掛金を拠出し、従業員が退職する際に退職金として支給される。国からの掛金助成があり、掛金は全額損金算入できるなど、税制面の優遇が手厚い。運用リスクがなく、元本割れの心配がない点が企業型DCとの大きな違いだ。ただし、掛金の上限や支給額は勤続年数や掛金期間に応じて決まるため、大企業の退職金と比べると見劣りする場合もある。
前払い退職金制度は、退職金を毎月の給与に上乗せして支給する制度だ。退職時にまとまった資金を受け取るのではなく、在職中に分割で受け取る仕組みである。注意点として、前払い分は毎月の給与に含まれるため、社会保険料や税金の負担が増える可能性がある。また、退職所得控除の対象にならず、税制上のメリットが受けられないケースが多い。さらに、退職時にまとまった資金が入らないため、老後資金の計画を立てる際には注意が必要だ。
| 制度名 | 仕組み | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 企業型確定拠出年金(企業型DC) | 企業が掛金を拠出し、従業員が運用。退職時に一時金または年金で受け取る | 掛金が非課税、運用次第で受取額が増える可能性 | 運用リスクがあり元本割れの可能性。受取額が確定しない |
| 中小企業退職金共済(中退共) | 企業が毎月掛金を拠出し、退職時に退職金として支給 | 国からの掛金助成、元本割れなし、税制優遇 | 掛金上限があり、大企業の退職金と比べると見劣りする場合も |
| 前払い退職金制度 | 退職金を毎月の給与に上乗せして支給 | 在職中に受け取れる、退職時の支払い負担が企業にない | 社会保険料・税負担増、退職所得控除の対象外 |

退職一時金と退職年金の違い|相場と勤続年数から見る受取額
退職金の受け取り方には「退職一時金」と「退職年金」の2種類がある。退職一時金は退職時に一括で受け取る方式で、退職所得として扱われ、退職所得控除が適用される。退職年金は分割で受け取る方式で、雑所得として扱われ、公的年金等控除の対象となる。一般的に、一時金で受け取る方が税制上のメリットが大きいとされるが、年金形式は長期間にわたって安定した収入を得られる点が特徴だ。
退職金の相場は、勤続年数や企業規模によって大きく異なる。厚生労働省の調査や民間の集計によると、大企業の退職金は勤続20年で1000万円前後、勤続30年で2000万円前後が一つの目安とされる。一方、中小企業では勤続20年で500万円前後、勤続30年で1000万円前後と、大企業の半分程度にとどまるケースが多い。ただし、これはあくまで平均値であり、企業の業績や制度の内容によって大きく変動する。
退職所得控除の計算は、勤続年数に応じて控除額が決まる。勤続20年以下の場合、40万円×勤続年数(最低80万円)が控除額となり、勤続20年を超える場合は、800万円+70万円×(勤続年数−20年)が控除額となる。例えば勤続30年の場合、800万円+70万円×10年=1500万円が控除額となる。退職金がこの控除額以内であれば、所得税や住民税はかからない。退職金制度がない会社でも、この控除の仕組みを理解しておくことは、老後資金の計画を立てる上で役立つ。
退職金がない会社で老後資金を備える方法|iDeCoと節税の比較
退職金制度がない会社に勤める場合、老後資金は自分で備える必要がある。その代表的な手段が「iDeCo(個人型確定拠出年金)」だ。iDeCoは、自分で掛金を拠出し、運用する私的年金制度で、掛金が全額所得控除の対象となる。運用益も非課税で、受け取り時には退職所得控除や公的年金等控除が適用される。2026年現在、iDeCoの掛金上限は加入区分によって異なり、会社員の場合は月額2万3000円(企業型DCに加入していない場合)が上限となっている。
iDeCoと企業型DCの節税効果を比較すると、企業型DCは企業が掛金を拠出するため、従業員の負担がない点がメリットだ。一方、iDeCoは自分で掛金を拠出するため、掛金の全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税の軽減が期待できる。例えば年収500万円の会社員が月2万3000円をiDeCoに拠出した場合、年間27万6000円の所得控除が受けられ、所得税率20%と仮定すると約5万5000円の節税効果が生まれる。企業型DCとiDeCoの併用も可能だが、掛金上限の合計に制限があるため、制度の組み合わせを確認する必要がある。
退職金がない会社で老後資金を備えるには、①iDeCoやつみたて投資を早期に始める、②生活費の見直しで貯蓄率を高める、③公的年金の受給額を把握して不足分を計算する、といった対策が有効だ。特に、退職金がない分を補うには、長期間の積み立てが鍵となる。20代・30代から少額でも始めることで、複利効果を享受できる。

退職金制度がない会社のメリット・デメリットと判断基準
退職金制度がない会社には、メリットとデメリットの両面がある。メリットとしては、①給与や賞与に反映される場合がある、②企業型DCなどで運用次第では受取額が増える可能性がある、③転職市場の流動化に合わせた柔軟な制度設計がなされている場合がある、といった点が挙げられる。一方、デメリットとしては、①退職時にまとまった資金が入らない、②老後資金を自分で備える必要がある、③企業の福利厚生が薄い印象を与えかねない、といった点がある。
退職金制度がない会社を選ぶ際の判断基準としては、①代替制度の内容(企業型DCの掛金率や中退共の加入状況)、②給与や賞与の水準、③企業の安定性や将来性、④自分の老後資金の計画との整合性、といった点を総合的に検討することが重要だ。特に、企業型DCの場合は運用方針やラインナップを確認し、自分に合った運用ができるかを見極める必要がある。また、前払い退職金制度の場合は、税負担の増加を理解した上で、老後資金の計画を別途立てることが求められる。
退職金制度がない会社は、必ずしも「悪い会社」ではない。制度の有無だけで判断せず、代替制度の内容や待遇全体を俯瞰して判断することが、後悔しない転職・就職の鍵となる。
【退職金制度がない会社】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:退職金制度がない会社の割合はどのくらいですか?
A1:企業規模によって大きく異なります。従業員30人未満の小規模企業では制度がない企業の割合が相対的に高く、1000人以上の大企業では大半が何らかの退職金制度を整備しています。2026年時点でもこの規模別の傾向は続いています。
Q2:退職金制度がない場合、老後資金はどう備えればいいですか?
A2:iDeCoやつみたて投資を早期に始め、生活費の見直しで貯蓄率を高めることが有効です。公的年金の受給額を把握し、不足分を計算した上で、長期間の積み立てを計画することが重要です。
Q3:企業型DCと退職一時金はどちらが有利ですか?
A3:一概には言えません。企業型DCは運用次第で受取額が増える可能性がありますが、元本割れのリスクもあります。退職一時金は確定した金額を受け取れ、退職所得控除のメリットも大きいです。自分の運用リスクへの許容度や老後資金の計画に合わせて判断することが大切です。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
2026年現在、退職金制度は企業型DCや中退共への移行が進み、多様化が加速している。退職金制度がない会社は、中小企業を中心に一定数存在するが、代替制度の整備や待遇全体での補完が行われているケースも多い。求職者としては、求人票や面接で制度の有無と中身を確認し、老後資金の計画と照らし合わせて判断することが求められる。
退職金がない会社を選ぶ際は、①代替制度の内容、②給与・賞与の水準、③企業の安定性、④自分の老後資金計画との整合性、の4点を総合的に検討しよう。制度の有無だけで一喜一憂せず、長期的な視点でキャリアと資産形成を考えることが、失敗しない選択につながる。退職金の有無にかかわらず、iDeCoやつみたて投資を活用した自助努力の備えは、これからの時代ますます重要になっていく。 (出典: 退職 金 制度 が ない 会社(Yahoo!ニュース))